不動産投資の苦い思い出①
上記の続きです。
かくしてF社長から不動産投資セミナーに誘われた数日後、私はとある都内の高級ホテルの会議室に呼び出されました。
そこには私を含めて5人、同世代くらいの男性がいました。
私が言うのもなんですが、投資とは無縁そうな普通の会社員っぽい雰囲気で、きっと私と同じように、F社長やその関係者に誘われて来た人たちだろうなと思いました。
10分ほどすると、F社長ともう一人、男性が入室してきました。
その男性は50歳くらいのかなりいかつい風貌で、例えるならドラマ「半沢直樹」に出てくる大和田常務みたいな感じで、目つきが鋭く威圧的なオーラを放っていました。
この男、F社長の師匠、メンターのような存在だとか。
いくつもの不動産会社の顧問をしていて、本当かどうか分かりませんが、月収1億円という冗談みたいな収入を得ている人だと紹介されました。
セミナーの講師はこの大和田常務でした。
「サラリーマンの賃金はここ30年間、全く上がってないのに、税金や社会保険料はどんどん上がっています。サラリーマンの給料だけでは、生活はますます厳しくなっていくでしょう。公的年金も破綻寸前であてにできません!」
「今の時代、貯金だけやっていてはダメで、老後への備えとして自分で資産を作っていくことがマストです!そして、将来の自分年金・自分退職金として、不動産への投資は非常に有効な手段です」
と、こんな感じで、見た目とは裏腹な丁寧な語り口で、将来の不安を煽りつつ、不動産投資への誘導が始まりました。
「我々であれば、ポータルサイトに載っているようなゴミ物件ではなく、その前段階の好条件の物件を皆さんに特別にご紹介できます。ただし、我々がプロ目線で目利きをした完璧な物件のみを選定するので、ご紹介には少し時間がかかります」
「我々と提携している不動産会社で仲介させていただくので、物件の紹介手数料はいただきません。もし興味があれば全力でサポートしますし、もちろん納得いかなければ買わなくても構いません!」
今振り返れば、この時点で怪しさしかありません。
一般の市場に出回らない物件があったとして、それをその辺の素人リーマンに「特別に紹介」する理由がありません。
しかし、ただならぬ大物オーラを纏ったこの大和田常務の話の妙な説得力をすっかり信じ込んでしまい、私は完全に彼らの話に乗ってしまいました。
それから、何度か大和田常務やF社長と面会を重ねました。
彼らはとても紳士的で、私の質問にも丁寧に答えてくれました。
「悪魔はいつも笑顔でやってくる」ってやつですね…
そして、2ヶ月くらい経った頃だったでしょうか、ついにあるマンションを紹介されました。都内の新築マンションで、間取りは1LDK。
内見に行くことになったのですが、この時、大和田常務が顧問をしているという不動産会社の社長が同行しました。
その社長というのが、お笑い芸人トム・ブラウンのみちおをすごく人相悪くしたような感じで、正直、どう見ても反社勢力の人にしか見えませんでした。
でも、物腰がめちゃくちゃ柔らかくて、そのギャップが逆に不気味でしたね。
物件自体は、新築なのでとても綺麗でした。
低層階のため眺望は微妙でしたが、2つ路線の駅からそれぞれ徒歩5分以内と、立地は良好。物件価格は約4000万円でした。
一見悪くない物件だけどどうしようかと悩んでいると、みちおが畳み掛けてきました。
「この物件でこの価格は、正直とてもお買い得です。他からも買付予約が入っているので、即決できないと流れてしまいますよ」
「この機会を逃すと、次にいい物件を紹介できるのはいつになるかわかりません」
「空室リスクに対しては、私の紹介する会社とサブリース契約を結ぶことで、家賃保証があるのでご安心ください」
当時の私は、不動産投資の本を何冊も読み漁っていて、確かにこの物件は、優良物件のポイントを満たしているように見えました。
また、家賃保証があること、みちおが出してきた収支シミュレーションも一見問題ないように見えたことも後押し材料となりました。
(これがそもそもの間違いであったことに後から気付くわけですが‥)
何より、早く不動産投資を始めて、会社を辞めたい!という気持ちが強かったため、最終的に契約してしまいました。
しかし、この「サブリース付き新築マンション」は、不動産投資において最も避けるべき最悪の物件だったのです。
(続きます…)
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投資家仲間が「不動産投資は1000軒の物件情報を見て投資するのは3軒位」と言ってました。
返信削除ソレって完全に事業やん…と思って
私はペーパーアセットのみで行こうと誓いました。
築古再生投資している人の再生現場作業も体験したが
縁の下へ配管修理で入ったり
重機を調達したり完全にプロ!
そんな業界にド素人が入って勝負に成る訳無いと痛感しました。
不動産投資は参入障壁が高すぎるし情報の非対称性も大き過ぎますね。
1000軒中3軒とは…生半可な気持ちじゃ到底できませんね…
削除業者は「ミドルリスクミドルリターンで不労所得ゲット」と、さも簡単そうにそそのかしてきますが、ご指摘の通り、事業経営として取り組む気概がないと成功は難しいのが不動産投資だと思います。